個々のペースでてんとうむし保育園では、クラスごとの目標に加え、個別での目標も細かく立て日々の保育に盛り込んでいます。
どの子にも得意、不得意はあるものです。また興味の有無によっても成長・発達への差もあります。
お子さんのことで気になることや、不安に思うことがありましたら保育士に相談してみてください。
保育園とご家庭で連携することで、より促せることもたくさんあります。
当園でお預かりするお子さんが0~2歳児ということもあり、よく相談を受けるトイレトレーニングの事例をご紹介します。

Aちゃん・Bくん・CくんのトイレトレーニングAちゃんとBくんは持ち上がりで2歳児クラスになり、Cくんは途中入園で2歳児クラスへ入りました。それまで3人ともオムツを履いての生活で、トイレでの排尿の成功はありませんでした。

 Aちゃんの様子を見ていると、オムツであることに安心して排尿しているようで、トイレで排尿することに抵抗感があるようでした。そこで親御さんご協力の下、日中の気温が暖かいと感じられるようになる頃から布パンツを履き、履物に排尿することの気持ち悪さを知ることから始めました(当時2歳3ヵ月)。
Aちゃんには「お姉さんパンツ履いてみよう!パンツにおしっこすると濡れちゃうから、おしっこはトイレでしようね。」とオムツから布パンツに履き替える度に声かけをしました。初めの数日は布パンツやズボンが濡れてしまっていても気が付かなかったり、気にしていないようだったりといった様子でしたが、次第に濡れているとお尻を気にして上げたまま遊ぼうとしたり、モジモジと困ったりする様子が見られるようになり、本人が気持ち悪さを感じ始めました。この頃に、トイレでの排尿に成功しはじめ、近くにいる保育士に褒められて喜びを見せるようになりました。すぐに感覚を掴めたようで、トイレでの排尿回数が日に日に増え、布パンツを濡らす回数が減っていきました。尿意もわかっているようで、トレーニングを始めて2週間ほどで排尿の間隔が延びて午前中の活動時間を布パンツで過ごせるようになりました。
親御さんと相談して、3歳を迎える時には睡眠時以外、布パンツで過ごせるようにしたいと目標を立てて、ご家庭でもトイレに誘ってもらうようにしたり、Aちゃんから尿意を伝えられるよう促したりして、トレーニングを進めることができました。Aちゃん自身のなんでも自分でやりたい気持ちも手伝って、目標よりも2ヵ月早く達成し、登園から降園まで、睡眠以外の時間を布パンツで過ごし、帰宅後も入浴まで布パンツで過ごし排便もタイミングが合えばトイレでできるようになりました。園では、生活の流れの中でこまめにトイレに行くため見ることがありませんでしたが、ご家庭では、自ら親御さんを誘ってトイレへ行くようになったそうです。

個々のペースでBくんとCくんは、排尿に対して特に意識はなく出るときに出している、といった様子でした。Aちゃん同様に、親御さんにご協力の下布パンツを履き、まずは自分が排尿していることを知ることから始めました(当時Bくん2歳4ヵ月、Cくん2歳11か月)。
Aちゃんとはまた違い、尿を溜めている様子もあまりなく、布パンツに出す量が多い時もあれば、自覚しづらいほど少ないこともあり、本人たちが”濡れている”感覚を掴みにくいようでした。しかし、回数を重ねるうちに濡れていることに加えて気持ち悪さも分かるようになり、Bくんは「おしっこ出ちゃった。」と言葉で伝えることが出始め、Cくんも顔を歪めて足を開いたまま歩こうとする等、自覚できるようになりました。
親御さんがゆっくりでいいと見守ってくださっている中で、園での生活の中で布パンツを履いて過ごせる時間を延ばし、トイレでの排尿回数を増やしていきました。Bくんは、布パンツを履けることが嬉しく誇らしく思っているようなので、「Bくんのお兄さんパンツ!」が履けるようトイレでの排尿を促していきました。Cくんは、濡らしてしまうことがとても嫌なようなので、「トイレでおしっこすればお兄さんパンツ濡れないね。」と話して本人の意識を高めていきました。Cくんは、保育士がタイミングを見て声をかければ、トイレでの排便にも何度も成功しており、褒められると照れた表情をよく浮かべていました。

BくんとCくんは男の子ということもあり、座っての排尿から立っての排尿の練習も途中から始め、それぞれのペースで成功を重ねて自信をつけていきました。

個々のペースで3人のペースも目標も、トイレに対する意識も違い、また卒園までに必ずオムツを外せるとは限りませんが、「僕/私、トイレでできた!」という成功した経験を自信にしてその子なりの成長をすることが出来ました。トイレトレーニングの場に限らず、困った時は助けを求めることや伝えることを促すことで、自分から自信をもって発信するようになりました。今後も子どもの個性に寄り添って親御さんと一緒に伸ばしていきたいと思います。